実行

最後に,データをファイルから読み込み,そのデータに対して,実装した NaiveBayes1 クラスを用いて学習と予測を行います.

最初に, NaiveBayes1 クラスを import します.

from nbayes1 import NaiveBayes1

次にファイルからデータを読み込みます. NumPy と SciPy にはいろいろな形式のファイルを読み込む関数があります 1 が,テキスト形式のファイルの読み込みをする np.genfromtxt() 2 を用います.

np.genfromtxt(fname, dtype=<type 'float'>, comments='#', delimiter=None)

Load data from a text file, with missing values handled as specified.

この関数は,カンマ区切り形式や,タブ区切り形式のテキストファイルを読み込み,それを NumPy 配列に格納します. fname は,読み込むファイルを,ファイル名を示す文字列か, open() 関数で得たファイルオブジェクトで指定します. dtype は,関数が返す NumPy 配列の dtype 属性を指定します. comments で指定した文字が,ファイル中の行の先頭にある場合,その行はコメント行として読み飛ばされます. delimiter は,列の区切りを指定します. 規定値では,タブを含むホワイトスペースの位置で区切ります. カンマ区切り csv ファイルの場合は,カンマ "," を区切り文字列として指定します. 区切り文字ではなく,数値や数値のタプルを指定することで,文字数で区切ることもできます. 引数の種類が非常に多い関数なので,ごく一部のみをここでは紹介しました. その他の機能については Importing data with genfromtxt などを参照して下さい.

NaiveBayes1 のテスト用データとして, vote_filled.tsv を用意しました 3

Congressional Voting Records Data Set : vote_filled.tsv

このデータはタブ区切り形式です. また, NaiveBayes1 クラスでは,入力訓練データの dtype 属性が整数であることを前提としています. よって,次のようにファイルを読み込みます.

data = np.genfromtxt('vote_filled.tsv', dtype=int)

このファイルは,最終列がクラスラベル,それ以外に特徴量を格納しています. このため,変数 data の最終列をクラスラベルの配列 y に,それ以外を特徴量の配列 X に格納します.

X = data[:, :-1]
y = data[:, -1]

データが揃ったので,いよいよ NaiveBayes1 クラスを使うことができます. 設計どおり,コンストラクタで分類器を作り, fit() メソッドに訓練データを与えてモデルパラメータを学習させます.

clr = NaiveBayes1()
clr.fit(X, y)

テスト用のデータは, X の最初の10個分を再利用します. 予測クラスは,分類器の predict() メソッドで得られます. 結果が正しいかどうかを調べるため,元のクラスと予測クラスを表示してみます.

predict_y = clr.predict(X[:10, :])
for i in range(10):
    print(i, y[i], predict_y[i])

結果を見ると,ほぼ正しく予測出来ていますが,6番のデータについては誤って予測しているようです.

実行可能な状態の NaiveBayes1 の実行スクリプトは,以下より取得できます. 実行時には nbayes1.pyvote_filled.tsv がカレントディレクトリに必要です.

NaiveBayes1 実行スクリプト:run_nbayes1.py

注釈

1

代表的な読み込み関数には,バイナリの npy 形式 np.load() ,matlab 形式 sp.io.loadmat() ,Weka の arff 形式 sp.io.loadarff() などがあります. ファイルの読み込みについては,Scipy.org にある Cookbook / InputOutput が参考になります.

2

np.loadtxt() という同様の機能をもつ関数もあります. np.genfromtxt() は, np.loadtxt() の機能に加えて,欠損値処理の機能が加えられているので,こちらを紹介します.

3

vote_filled.tsv は UCI Repository の Congressional Voting Records Data Set をタブ区切り形式にしたファイルです. アメリカ議会での16種の議題に対する投票行動を特徴とし,議員が共和党 (0) と民主党 (1) のいずれであるかがクラスです. 元データには欠損値が含まれていますが,各クラスの最頻値で補完しました.